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マレーク・ベロニカ氏から刀根里衣氏宛ての手紙 その2

 

刀根里衣さま

 

お返事が遅くなりごめんなさい。

 

8月は猛暑が続く日々で、頭がボーッとして仕事さえできない状況でした。何事にも集中ができませんでした。

今は16~17度ぐらいまで気温が下がり、だいぶ過ごしやすくなりました。

 

改めて仕事に取り掛かりましたが、急がないといけません。主人公はボリボンで、この前書いたようにクリスマスがテーマの本ですので。

息子さん、可愛いですね!「ラチとらいおん」を眺めているのですから、きっと頭もいいですね。

お名前は?

 

私の一番下の孫が2歳です。名前はマールトンで、マルツィという愛称で呼んでいます。

まだおしゃべりはできないのですが、ボリボンシリーズはいつも注意深く聞いています。後ほど写真をお送りしますね。

息子さんも、うちの孫も、今作っている話を気に入ってくれればいいですね。

 

折り紙の件ですが、私も鶴は覚えました。尾を引っ張れば羽が動くタイプです。大好きです。また、日本人の友達の皆さんが作ってくれた小さな折り紙のフィギュアをたくさん、大事に保管しています。


子供向けの本は、異文化との出会いのきっかけになるというようなことを書かれていましたね。その通りだと思います。でも不思議なことに、それぞれの国が自分の子供文学に執着しているようです。「人気な作品」は他国の子供には向いてない場合もあり得るし。運が良ければ他国でも好評だったりしますが、0歳向けの本でも全国で共通して大好評ということはありません。


私が「異文化」体験をしたのは、ちょうど日本です。1965年以降、「ラチとらいおん」が毎年出版されるのは嬉しかったのですが、日本人がどうして「最後に泣いた」と共通して仰せになるのかを理解できなかったのです。
ハッピーエンドのはずなのに、どうして?と56年間、日本人が泣く理由を考え続けましたが、やっと最近分かりました。自分でもびっくりしました。

皆さんが泣くのは、小さならいおんがお別れの挨拶をして去っていくからでしょう。

 

日本人の読み方は「こうして」違ったのですね。らいおんの存在が大事になりすぎて、らいおんのことが好きになり、お別れが辛くなるということでしたね。

一方、私たちのとらえ方は全然違います。役目が終わったので、他の子供にも役に立てられるように、らいおんはラチのもとを離れます。

 

日本人は温かいですね、仲間になってくれたものを大事にしている。なんて素晴らしい国民でしょう。
ちなみにこの間、高校卒業65周年記念でした。元クラスメートが11名集まりました。

全員84才の男女です。とても楽しいひと時でした。

 

同世代の仲間と一緒に過ごすと癒されるし、幸せです。14歳の時から知り合いですから。若い時の思い出が新鮮に浮かべられますし、お互い年寄りですので、年寄りであることは許容しあっています。まだまだ語り合いたいことがたくさんあります。だんだん人数が減っていきますが、時間が許す限り喜び合っています。
そこで大問題です。子供向けの作品の中に、死をテーマにしたことが一度もありません。でも、どうしても避けられないテーマではないでしょうか。

 

どう思いますか。

 

心を込めて

 

ヴェロニカ

 

2021年8月31日