刀根里衣さま
お手紙うれしく拝見いたしました。ひきこもりがちになるコロナ禍で新しい出会いに恵まれて幸運です。しかもお相手が自分と同じ絵本作家だということになると尚更です。加えてお若いしね。
自己紹介代わりに写真一枚添付します。2018年にキシュゴムボシュ(“小さなボタン付き”)児童出版社のイベントに参加し、子供たちに読み聞かせしたり、絵を描いてあげたりした際、お礼に美しい絵を三枚いただきました。とても気に入った作品だったのですが、実はそれは刀根さんの『ぴっぽのたび』の複製原画だったということは、ごく最近まで知りませんでした。刀根さんも以前そこでワークショップをなさったことがあったのですね。
この前、刀根さんのハンガリー語で出版された絵本二冊を国際交流基金ブダペスト日本文化センターに送ってもらい、拝見しました。優しさと情熱に溢れる、美しい絵に惹かれますね。刀根さんの自然に対する愛も伝わってきます。
今はどんな作品を作られていますか。。
あと、些細なことですが、もう一つ。刀根さんがお仕事中の写真を見た時に微笑せずにはいられませんでした。なぜかというと、私は絵の具で作業する時に美しい陶器のカップを用意するといつも怒られてしまうのですが、お絵かき用にきれいなカップを使うのは私だけではないみたいですね。
私の『ラチとらいおん』と“くってぃんの誕生日”という二冊は、刀根さんと私との間に昔からのつながりのようで、今知り合ったわけではないということを意味していますね。
息子さんが『ブルンミの誕生日』が好きな理由を聞いた時、びっくりしました。自分は最近まで気が付かなかったのですが、十六冊からなるブルンミシリーズは本当にジェットコースターみたいなものですね。小熊のブルンミは、時には悲しかったり、時には嬉しかったり、そしてまた悲しくなったり、また再び機嫌が直ったりと。
今年のクリスマスまでには新しい物語を作ろうと思い、今は勇気を集めているところです。プレゼントの話にしようかなと。後ほど、その本の誕生について改めてお便りしますね。
もちろん、国立人形劇場での仕事にも色々と影響を受け、とても印象に残っている時期です。もう高齢ですが、ブダペストの人形劇場2か所にも、自分の作品に基づいた芝居がレパートリーになっており、本当に幸せです。ブルンミとアンニパンニ、それからキップコップとティップトップ、私が創ったキャラクターたちが人形劇に登場しています。キップコップシリーズも次々とアニメ化されています。『ラチとらいおん』のアニメ版もできており、すぐにインドで一等賞をとりました。アニメ版ブルンミのシリーズもそろそろスタートします。
まだやりたいことがたくさんあります。一切死ぬ気なんてありません。
もし私次第でしたら... 毎日、もう一日生き延びれたと喜んでいます。
では、愛をこめて
マレーク・ヴェロニカ